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いくら真面目にやっても 休憩は必要です。

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『かもめ食堂』のスタッフとキャストが再び集結し、南の海辺を舞台にした心地よい物語を届けてくれました。試写会に行けず、映画館に行けず、見逃し続けてだいぶ月日が過ぎました。ようやっとDVDで観れたのでたまにはちゃんとした感想を。


『めがね』。
何が自由か、知っているーー


人生にはふと立ち止まる瞬間が訪れる。そんなときに見たい映画。
道に迷った瞬間、どこで、誰と、どう、過ごすか。
ともあれ、この瞬間こそがたそがれどき。
たそがれ方は人それぞれ。何をするわけでもなく、ただ「たそがれる」。何もいらないし、何もしなくていい。
これが意外に難しい。私自身、「たそがれるのは得意」なほうだと自負していたけど、全然違ったみたい。完全に「たそがれ方」をはき違えていた。そして、今まさに欲していたソレがここにあった。たそがれ方を知ったというか。それだけでもこの映画から得たものは大きい。


日常から離れた、一切の無駄を省いた海辺での生活を通して見えてくる、自由。原始の豊かさ、美しさによって気付かされた"自由"に、勝る"自由"はない。その裏側には現実世界も存在しているから、切なさも漂うけれど、それが人生。


どこからともなく、「宿ハマダ」に集まってきた5人。
ここに登場する人物たちが普段どんなことをしている人たちなのかは明かされない。
それでも5人はゆるやかな時間を共有する。
互いのことを何も知らない、何も聞かない関係、比べない、求めない関係。これはクールとか無関心とか、そんな単純なことではない。ものすごいこと。そこに人間の逞しさを感じる。自由。たそれがれるのに最適な条件。旅の途中、ときには迷うことだってある。それも旅の醍醐味。旅そのものは"人生"における劇中劇に過ぎないのに、旅そのものがまるで"人生"だ。


そして、『かもめ食堂』然り、『めがね』でも食の大切さを教えてくれる。
どんなにシンプルな生活でも、"食"は絶対だ。
毎朝のごはん、サクラさんのかき氷、「その日の難逃れ」といわれる梅干し、みんなで食べる伊勢えび。どれも至ってシンプルなものなのに、今の私にはどんな高級料理よりも最高の贅沢品に見える。
これは今すぐにでも日々の生活で実践できること。心ほぐされるごはんを日課にしなくては。
メルシー体操も可愛い。"珍しいキノコ舞踏団"が振付を手掛けているとのことで納得。
真っ青に広がる浜辺で是非ともやってみたい体操だ。
こういう日課があるというのも、都会暮らしではなかなかお目にかかれない光景なので新鮮。


とまあ、こんな映画を観てしまうと、自分はなんと体を酷使した生活を送っているんだろうか、とちょっぴり凹む……。ここに登場する「心地よい暮らし」とは縁遠い、慌ただしい日々。
とはいえ、私の場合は毎日がここに登場するようなロハス的な生活になると、それはそれで退屈になるのが目に見えている。東京はやっぱり大好きだしね。
そうそう、それでも迷ったときは旅をすればいいんだ。存分にたそがれればいいんだ。そしていつもと変わらぬ日常に戻り、また道に迷ったとき、立ち止まったときに旅をすればいい。たそがれればいい。


宿ハマダに訪れた気分で
"めがね"というレンズを通して見える、いつもと違った景色を
のぞいてみてください。ものすっごいマイナスイオンが出てますんで。


▼ 舞台や映像の美しさ、衣装やセットの可愛さ、役者陣の素晴らしさは、誰が見たって、もう当たり前すぎるので書きません。シンプルが一番だと気付かせてくれることだけは間違いないです。

Posted by timemachinelabo at 03:09 PM

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